初心者向け / ブレンドガイド
レモングラス(イネ科の草)と果実のレモン(ミカン科の樹)はまったく別の植物です。なぜ同じようなレモンの香りがするのか、レモングラスティーが酸っぱくないのはなぜか、料理やティーで置き換えられるのかを、植物分類・香り成分・味の成り立ちから整理しました。
レモングラス以外にも、レモンの名を借りたハーブがあります。いずれも果実のレモンとは無関係の別植物で、科すら違います。
| 分類 | 使う部分 | 香りの印象 | 酸味 | |
|---|---|---|---|---|
| 🍋レモングラス | イネ科 | 葉・茎 | シャープ、やや草っぽい | ほぼない |
| 🍃レモンバーム | シソ科(ミントの仲間) | 葉 | 甘く穏やか | ほぼない |
| 🌿レモンバーベナ | クマツヅラ科 | 葉 | 上品で華やか | ほぼない |
| レモン | ミカン科 | 果実 | 甘さを含む柑橘 | 強い |
つまり、レモンの香りがするハーブティーはあっても、レモンの酸味がするハーブティーはないということです。3種のハーブの選び分けはレモン系ハーブティーの違いに早見表でまとめてあります。レモングラスとレモンバームを1対1で詳しく比べたい場合はレモンバームとレモングラスの違いを、レモンバーム単体の成分や淹れ方を知りたい場合はレモンバームティーとはをどうぞ。
レモングラスティーは東南アジアをはじめ日常的に親しまれてきた飲みものですが、次に当てはまる方は、飲み始める前にかかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
いずれも「飲んではいけない」と断定するものではなく、自己判断で始めないほうがよいという趣旨です。判断できるのは、あなたの状態を把握している専門家だけです。
まったく別の植物です。レモングラスはイネ科の多年草(Cymbopogon citratus)で、使うのは細長い葉と根元の白い茎です。レモンはミカン科の常緑樹(Citrus limon)で、使うのは果実です。分類も、使う部分も、味の成り立ちも異なります。共通しているのは、レモンらしさを感じさせる香り成分シトラールを両方が含んでいる点だけです。
仲間ではありません。レモングラスはイネやススキと同じイネ科の草で、レモンはみかんやオレンジと同じミカン科の木です。名前に「レモン」とついているのは、香りがレモンに似ているからで、植物としての近さを表したものではありません。
酸っぱくありません。レモンの酸味は果汁に含まれる酸によるものですが、レモングラスで使うのは葉と茎なので、その酸をほとんど含まないためです。香りはレモンらしいのに味は酸っぱくない、というのがレモングラスティーのいちばんの特徴です。
レモングラスの葉が、レモンの果皮にも含まれるシトラールという香り成分を持っているからです。植物として近縁だからではなく、別系統の植物がたまたま同じ香り成分をつくっている、という関係です。
香りづけが目的なら代わりになりますが、酸味づけが目的なら代わりになりません。レモングラスは茎を叩いて煮汁に入れ、香りを移してから取り出す使い方が中心です。仕上げに搾って酸味を足すレモンの役割は、レモングラスでは置き換えられません。
入れても構いません。香りが重なり、酸味が加わります。ただしレモングラス本来の「酸っぱくない爽やかさ」は隠れるので、まずは何も足さずに一杯飲んでから判断するのがおすすめです。
ハイビスカスを少量ブレンドすると、植物由来の酸味と赤い色が加わります。レモンの薄切りや果汁を落とすのがいちばん直接的です。どちらも量で印象が大きく変わるので、少量から試してください。
レモン果汁の代わりとして期待するものではありません。ビタミンCは水に溶ける性質があり、また熱にも弱いため、ハーブティー全般でその摂取源として考えるのは適切ではないとされています。レモングラスティーは、栄養を摂るためというより香りと味を楽しむ飲みものです。
3つとも果実のレモンとは別の植物で、さらに互いに科も違います。レモングラスはイネ科でシャープな香り、レモンバームはシソ科で甘く穏やかな香り、レモンバーベナはクマツヅラ科で上品な香りです。いずれも酸味はほとんどありません。選び分けはレモン系ハーブティーの違いのページにまとめています。
「レモングラス」という名前は、味の予告ではなく香りの予告だと考えるのがいちばん正確です。そのつもりで一杯目を飲むと、期待外れではなく「そういうものか」と受け取れます。
次の一歩としては、レモン系ハーブの選び分けならレモン系ハーブティーの違い、レモンバームとの1対1比較ならレモンバームとレモングラスの違い、他のハーブとの味の位置関係ならハーブティー味わい比較マップへ進んでください。レモングラスそのものの基本情報は🍋レモングラスの図鑑ページに、他のハーブ全体はハーブ図鑑にまとめてあります。
なお、ハーブティーは食品であり医薬品ではありません。体調に不安がある場合、通院中・服薬中の場合は、医師・薬剤師にご相談ください。
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ハーブティーブレンド完全ガイドを見る →先に結論を書きます。🍋レモングラスと果実のレモンは、名前と香りが似ているだけで、植物としてはまったくの別物です。親戚でも、品種違いでもありません。
| レモングラス | レモン | |
|---|---|---|
| 分類 | イネ科の多年草(草) | ミカン科の常緑樹(木) |
| 学名 | Cymbopogon citratus | Citrus limon |
| 使う部分 | 葉と、根元の白い茎 | 果実(果汁と果皮) |
| 見た目 | ススキに似た細長い葉 | 黄色い柑橘の実 |
| 原産 | 熱帯アジア | インド北部付近が起源とされる |
| 香り | レモンを思わせるシャープな香り | 柑橘らしい甘さを含む香り |
| 酸味 | ほとんどない | 強い |
| ティーにしたとき | 酸っぱくない、すっきりした草の風味 | 果汁を足せばはっきり酸っぱくなる |
ここで多くの人が引っかかるのが、いちばん下の2行です。レモンの香りがするのに、レモングラスティーは酸っぱくない。この記事では、なぜそうなるのかを順番にほどいていきます。
なお、名前に「レモン」とつくハーブは他にもあります。🍃レモンバームや🌿レモンバーベナとの関係は後半でまとめて整理します。
🍋レモングラス(学名 Cymbopogon citratus)は、イネ科の多年草です。イネ、ススキ、ヨシと同じ仲間、つまり穂の出るタイプの草だと考えるとイメージしやすくなります。英語名を直訳すれば「レモンの草」で、名前そのものが「レモンではなく草である」と言っています。
背丈は人の腰から胸ほどまで伸び、葉は細長く、縁は手が切れるほど鋭いものもあります。ティーや料理に使うのは、この細長い葉と、株元のふくらんだ白い茎です。果実はできませんし、実を食べる植物でもありません。
乾燥茶葉として売られているものは、葉や茎を刻んだ状態なので、細い棒状・わら状に見えます。「お茶の葉」というより「干し草」に近い見た目です。
一方のレモン(学名 Citrus limon)は、ミカン科ミカン属の常緑樹です。みかん、オレンジ、グレープフルーツ、ゆずと同じ柑橘の仲間で、数メートルに育つ木になります。
利用するのは実った果実で、なかでも果汁と果皮です。果汁には酸味が、果皮には香りが集まっています。レモンの皮をこすったときに立つ強い香りは、果皮にある油の粒(油胞)が弾けたものです。
つまり、草の葉を使うのがレモングラス、木の実を使うのがレモン。使っている器官からして違います。
植物としてこれだけ離れているのに香りが似るのは、同じ香り成分を両方が持っているからです。その代表がシトラールで、ゲラニアールとネラールという2つの物質をまとめた呼び方です。
シトラールは「レモンらしさ」を強く感じさせる香気成分として知られ、レモングラスの葉にも、レモンの果皮にも含まれています。名前の由来もここにあります。レモングラスは、レモンの遺伝子を持っているからレモンの香りがするのではなく、たまたま同じ香り成分をつくる草だからレモンの香りがするのです。
自然界ではこうした「別系統の植物が同じ香り成分を持つ」ことは珍しくありません。🍃レモンバームや🌿レモンバーベナがレモンの香りを持つのも、同じ理由です。
ただし、嗅ぎ比べると同じではありません。香りは単一の成分ではなく、複数の成分の組み合わせでできています。
「レモングラスの香りはレモンより鋭い」「レモンのようだけど、どこか草っぽい」と感じる人が多いのは、この土台の違いによるものです。ハーブティー全体の中でレモングラスの風味がどのあたりに位置するかは、ハーブティー味わい比較マップで他のハーブと見比べられます。
レモンを口にしたときの、あの強烈な酸っぱさ。あれは香りではなく、果汁に含まれる酸(クエン酸など)による味覚です。舌が酸として受け取っているのは、果汁の中の成分です。
ここが決定的です。レモングラスで使うのは葉と茎であって、果汁ではありません。搾る実がそもそもないため、レモングラスティーには、レモンのような酸味のもとになる成分がほとんど入っていません。
結果として起きるのが、初めて飲んだ人がいちばん驚く現象です。
香りはレモン。でも、口に入れると酸っぱくない。
香りと味が別ルートで届くということが、ここではっきり体感できます。鼻はレモンだと判断しているのに、舌は酸を受け取っていない。レモングラスティーは、その「ズレ」をそのまま飲む一杯だと言えます。
レモングラスの解説で「爽やかな酸味」という表現を見かけることがありますし、実際にそう感じる人もいます。これは味覚の話というより、香りが酸味の印象を連れてくるために起こるものと考えられています。私たちは、レモンの香りを嗅ぐと「酸っぱいもの」を予測するように学習しているからです。
とはいえ、実際にレモン果汁と飲み比べれば差は明らかです。レモングラスティーの爽やかさは「香りの爽やかさ」であって、「酸っぱさ」ではない——ここを押さえておくと、買ってから「思っていた味と違う」となりにくくなります。
「レモンの香り+はっきりした酸味」がほしい場合は、酸味のほうを別で足します。
組み合わせを試す前に相性を確かめたいときは、ブレンドシミュレーターで2〜4種類を選ぶと、相性と配合比率の目安を確認できます。
「レモンの代わりにレモングラスを使えますか?」という問いへの答えは、目的が香りなら概ねイエス、酸味ならノーです。
| 目的 | 🍋レモングラス | レモン |
|---|---|---|
| 香りをつけたい | 向く。煮出す・煮込むと香りが移る | 向く。果皮を削る、果汁を絞る |
| 酸味をつけたい | 代わりにならない | これが本領 |
| 煮込み料理に使う | 向く。加熱しても香りが残りやすい | 果汁は加熱で風味が変わりやすい |
| 仕上げにひと振り | 向かない(繊維が硬く食べない) | 向く。搾りかけるだけ |
| ティーにする | 茶葉として主役を張れる | 単体では酸味が勝ちやすい |
| 見た目の彩り | 淡い黄色のティーになる | 輪切りが映える |
レモングラスは、トムヤムクンやトムカーガイをはじめとする東南アジアの料理でおなじみの素材です。茎を包丁の背で叩いて香りを出し、煮汁に入れて香りを移し、食べる前に取り出すのが基本の使い方になります。繊維が硬いため、ローリエと同じように「香りづけをして抜く」役回りだと考えるとわかりやすいでしょう。
レモンは逆に、仕上げに搾るのが持ち味です。加熱を前提にしない使い方が中心になります。
つまり、加熱して香りを入れるならレモングラス、火を止めてから香りと酸味を足すならレモン。この住み分けで、ほとんどの場面は説明がつきます。
ティーでは立場がはっきり分かれます。レモングラスは単体で成立する茶葉であり、🫙ジンジャーやミントと組んでも軸になれます。対してレモンは、茶葉ではなくあとから足す副材です。
レモングラスティーに生のレモンを一切れ落とすこともできます。香りは重なりますが、酸味が前に出るぶん印象は変わります。レモングラスらしい「酸っぱくない爽やかさ」を味わいたいなら、まずは何も足さずに一杯飲んでみることをおすすめします。
本サイトで紹介しているレモングラスの淹れ方の目安は次のとおりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 茶葉の量 | ティースプーン山盛り1杯(ドライ) |
| お湯の量 | 200ml |
| 湯温 | 95℃前後(熱湯でよい) |
| 蒸らし時間 | 5分 |
レモングラスは茎を含むぶん組織がしっかりしているので、高めの温度でしっかり蒸らすほうが香りが出ます。香りが飛びやすい🍃レモンバームとは逆の扱いになる点が、同じ「レモン系」でも違うところです。
生のレモングラスが手に入った場合は、叩いてから使うと香りの出方が変わります。アイスティーにしても香りが崩れにくいハーブなので、濃いめに淹れて氷で割る飲み方も向いています。